●追悼 エンニオ・モリコーネ

2020年07月07日

巨星、ついに墜つ。映画音楽界きっての偉大なマエストロ、エンニオ・モリコーネが、この7月6日に死去したとの訃報が昨日届いた。享年91。

それを受けて、クリント・イーストウッドやジョン・カーペンター、エドガー・ライト、アントニオ・バンデラス等の映画人をはじめ、ヨーヨー・マ、ロジャー・ウォーターズといった音楽界の大物たちからも、彼の死を悼む言葉が次々と寄せられている。

第79回アカデミー名誉賞のオスカーをイーストウッドから渡され、拳を突き上げるモリコーネ
第79回アカデミー名誉賞のオスカーをイーストウッドから渡され、拳を突き上げるモリコーネ


筆者も、モリコーネの音楽は子供の頃から大好きで、彼に対する臆面もない愛情とリスペクトの念は、これまでにも機会があるごとに表明してきたし、

https://bit.ly/2VT5wrW

https://bit.ly/3gzPtaA

https://bit.ly/2VTT8rN


ここ最近、拙ブログで続けて書いてきた風変わりなサントラ紹介の文章の中でも、モリコーネのカヴァー曲を幾つも取り上げて、彼は期せずして陰の主役のひとりとなっていた。

それに、目下締め切り間際の仕事に追われていて、あまり時間を割く余裕がないことでもあるし、(昨日も夜遅くになってから、筆者はようやくモリコーネ死去の報に接して、嗚呼、ついに......と思わず嘆息がもれた後、寝るまでのしばしの間、追想に浸るべく、手持ちのCDを適当に幾つかプレイヤーにかけたのだが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』(1968 セルジオ・レオーネ)や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984 セルジオ・レオーネ)の中の優美きわまりない名曲をまた改めて聴き直した時点で、気分良くさっさと寝についておけばよかったものを、

モリコーネとレオーネ
モリコーネとレオーネ

その後も、彼作曲の現代音楽やモンド系のラウンジ音楽、それにまたぞろ、ジョン・ゾーンのモリコーネ・カヴァーアルバム「The Big Gundown」にもつい手が伸びて、あれこれ聴き直すうち、眠気が吹き飛んでしまい、結局、明け方近くまですっかり夜更かしをするはめとなってしまった...。完全にドツボにはまって、マズいパターン。ったく、やれやれ...)、

ジョン・ゾーンとモリコーネ
ジョン・ゾーンとモリコーネ

ここでは誠に恐縮ながら、この短文と画像で、この偉大なマエストロに、ささやかながら個人的な哀悼の意を捧げることにしたい。我が師匠、どうか天国で安らかにお休みください。


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[追記:2020年7月15日]


上記の拙文でも名前を挙げたジョン・ゾーンが、その後、NYタイムズに、モリコーネの追悼記事を寄せているので、遅まきながらここに改めて紹介しておくことにしたい。

https://bit.ly/3iXiPBA

「エンニオ・モリコーネは、世界で最も偉大な映画音楽家のひとり、と言うに留まらず、世界で最も偉大な作曲家のひとりだった。以上。」と真っ先に述べた上で、ゾーンは、モリコーネの名を音楽界の偉大な先達たちと同等に並べて、彼に熱烈なオマージュを捧げている。

ちなみにゾーンは、先に拙文でも紹介したモリコーネのカヴァー・アルバム「The Big Gundown : John Zorn plays the Music of Ennio Morricone」を1985年に発表した後、

1988年にヴァージン・レコードから発売されたモリコーネの映画音楽集のコンピレーション盤「ENNIO MORRICONE FILM MUSIC VOLUME Ⅱ」のライナーノーツの解説文も執筆している。

ゾーンがモリコーネを音楽界の偉大な神のひとりとして崇め奉ることは、筆者にとっては、然もありなんで至極当たり前のことと思う一方、モリコーネ自身、ゾーンのことをきわめて高く評価していたことも、ここでぜひ付け加えておきたい。

日本でも邦訳されたモリコーネのインタビュー本「エンニオ・モリコーネ、自身を語る」(エンニオ・モリコーネ+アントニオ・モンダ 中山エツコ訳。原書刊行は2010年)の中で、「あなたの曲は多くのミュージシャンが演奏していますね。ロックスターがコンサートで取りあげたりも」と、インタビュアーのアントニオ・モンダから聞かれたモリコーネが、メタリカやブルース・スプリングスティーン、ダイアー・ストレイツらの名前を列挙した後、「特に気に入った演奏というのはありますか」と重ねて問われ、

  • ほとんどみな、わたしの曲をかなり変えるのですが、非常におもしろい結果になっている場合もあります。たとえば、ジョン・ゾーン。とても優れたミュージシャンだと思います。

と、真っ先にゾーンの名を挙げている。

実際、「The Big Gundown」のライナーノーツにモリコーネ自身が寄せた文章の中でも、「これは、新鮮で素晴らしく聡明なアイディアの詰まったレコードだ。偉大な科学と空想力、そして創造力を兼ね備えたひとりのマエストロの手により、高度なレヴェルで達成された業績だ」と褒めちぎっているので、最後にそれをここで紹介しておこう。