●映画本大賞2013(蔵出し原稿)

2020年07月21日

  • ①森崎東党宣言!(藤井仁子編)
  • ②ルイス・ブニュエル(四方田犬彦)
  • ③溝口健二著作集(溝口健二著、佐相勉編)
  • ④メロドラマ映画を学ぶ ジャンル・スタイル・感性(ジョン・マーサー+マーティン・シングラー/中村秀之+河野真理江訳)
  • ⑤ニコラス・レイ読本 We Can't Go Home Again(土田環編)
  • ⑥ロバート・クレイマー1964/1975(遠山純生編・著)
  • ⑦映画 果てしなきベスト・テン(山田宏一)
  • ⑧中子真治SF映画評集成(中子真治)
  • ⑨映画に耳を(小沼純一)
  • ⑩不眠の森を駆け抜けて(白坂依志夫)

タイムリーな刊行で森崎東監督の復活を言祝ぎ、後押しした①は、これまでの森崎研究の最良の知的財産を受け継いだ上で生み出された充実の好著。これまた不敵なユーモアと反骨精神に満ち溢れ、とても一筋縄ではいかないブニュエル映画の型破りな魅力を縦横無尽に論じた著者宿願の入魂作②にも感服。これを著作集と呼ぶかは些か疑問だが、従来知られざる資料を丹念に発掘し、この神話的映画作家への便利な通路を切り拓いてくれた③の登場も喜ばしい。あとは順不同。ちなみにワーストは『「ローマの休日」を仕掛けた男』。赤狩り関連文献一つろくに繙かず、自らの映画的無知を臆面もなく曝け出した訳者のお粗末な仕事ぶりは、一発レッド退場もの。

[初出:キネマ旬報2014年4月下旬号 No.1660]