●映画本大賞2012 選評 (蔵出し原稿)

2019年02月03日

  • ①トリュフォーの手紙(山田宏一)
  • ②亡命者たちのハリウッド(吉田広明)
  • ③六〇年代ゴダール(アラン・ベルガラ/奥村昭夫訳)
  • ④ジョナス・メカス ― ノート、対話、映画(森國次郎編、木下哲夫訳)
  • ⑤影の部分(秦早穂子)
  • ⑥ロバート・アルドリッチ大全(アラン・シルヴァー、ジェイムズ・ウルシーニ/宮本高晴訳)
  • ⑦小川プロダクション「三里塚の夏を観る」(鈴木一誌編著)
  • ⑧サスペンス映画史(三浦哲哉)
  • ⑨ル・クレジオ、映画を語る(J・M・G・ル・クレジオ/中地義和訳)
  • ⑩しどろもどろ 映画監督岡本喜八対談集(岡本喜八)

「友人からの心のこもった贈り物を大切にとっておくことは、遠い距離、長い時間を隔てても友情を保ち、失くさない一つの方法だろう」と④でジョナス・メカスが述べている。即時=即自的なつぶやきが幅を利かせる今日にあってなお、じっくりと真摯に自己と他者、映画との対話を積み重ね、しかるべき時間的・空間的迂路を経た上で産み落とされた貴重な結晶群(往復書簡!)が、自ずとリストの上位に並んだ。①は『恋のエチュード』のように感動的で万感胸に迫るものがあり、③の著者&訳者の誠実な仕事ぶりにも敬服するばかり。②は、メカスも直面した「亡命」という過酷な体験が人と映画に何をもたらしたかを精細に論じ尽くして圧巻。以下は順不同です。


[初出:キネマ旬報2013年5月上旬号 No.1635]