●ロング・グッドバイ ― ふたたびみたび、「許されざる者」について

2018年11月25日

今回もまた、Y氏の新著との比較検証のため、筆者が以前書いた拙文をもう2例、紹介しておくことにしたい。

1つは、CSの洋画専門チャンネル、ザ・シネマの「シネマ解放区」に掲載された『ロング・グッドバイ』(1973 ロバート・アルトマン)の紹介文。この映画の物語自体、何とも皮肉なことに、友と信じていた相手に手ひどく裏切られる昔気質の私立探偵フィリップ・マーロウの姿を描いていて、今の自分にとってますます切実で他人事には思えないわけだが...。

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そしてもう1つは、「ロバート・アルドリッチ大全」(2012 国書刊行会)所収の「アルドリッチ全作品」の中の『ワイルド・アパッチ』(1972)の解説文。


あれこれ疑念のつきまとう類似の文章は、まだまだほかにも多数あるし、Y氏の著書の中に無断で搾取・盗用され、本来の正当な権利を侵害されている人物は、筆者以外にも必ずやいるはずだが、ここでこれ以上あれこれ詮索するのは、自分でもいい加減倦み疲れてウンザリしてきたし、これまでに挙げてきた例でも充分立証済みだと思うので、もう今さらよすことにしよう。

ちなみに、ハワード・ホークスの透明で明快きわまりない映画世界が、ノワール的な世界観とは一切無縁なものとして、同書の中では傍流扱いされ、基本的に排除されているのは、やはり何とも象徴的で、多くを物語っているというほかない。なぜなら、仲間同士の信頼と友情を重んじることこそが、ホークス的な友愛集団の何よりの鉄則であり、仲間を平然と裏切るような卑劣な振舞いは、断じてあってはならないことだからだ。そして同書の中に、これまたホークスの映画世界を端的に特徴づける、敵味方の立場を超越したプロの仁義など、無論あろうはずもない。

先にも書いた通り、これまで筆者はY氏とはもうかれこれ20年来の長い付き合いがあり、古き良き知己、同志にして、いまどききわめて珍しい厳正な態度・姿勢を貫く硬派な映画批評家だとばかり思い込んでいたのだが、どうやらそれはこちらのとんだ思い違いだったことがこの期に及んで判明し、自分のあまりのおめでたさ加減につくづく嫌気がさすと同時に、彼が筆者と長年素知らぬ態度で平然と付き合い、その裏でこちらの寝首を掻く機会をずっと虎視眈々窺っていたのかと思うと、そのどこまでも腹黒い陋劣さと蛇のような執念深さに、ただもう背筋に悪寒が走ってゾッとするばかりだ。

今回の件で、Y氏は、ひとりの友ならざる仲間を失っただけでなく、自らのつまらない虚栄心とエゴを満たすために本来の道を誤って自分で自分の名前に泥を塗り、これまでそれなりに築きあげてきた社会的信用までをも一挙に失墜させたことを肝に銘ずべきだろう。

一見殊勝らしい風を装ってtwitterで同書における記述の間違い探しの一人芝居を続けるより、そのことをまず何より、自らの胸に手を当てて深く反省すべきではないだろうか。