●『ショックプルーフ』(1949 ダグラス・サーク)(蔵出し原稿

2018年12月24日

1950年代にユニヴァーサルでメロドラマの大家となるドイツ映画界出身のダグラス・サーク監督が、それ以前にコロンビアで手がけた、比較的知られざる"愛の逃避行もの"の低予算犯罪映画。主役のアウトロー・カップルを演じるのは、『哀愁の湖』(1945 ジョン・M・スタール)のコーネル・ワイルドと、当時彼の妻だったパトリシア・ナイト。

もともと「恋人たち」と題されていたオリジナル脚本は、まだ監督デビューする以前のサミュエル・フラーが書いたもので、サーク監督は"実現することのできない愛、極限の状況下での愛、社会的に定められた不可能な愛"という、後の彼の作品にも共通するテーマに大いに興味を惹かれたという。けれども彼の意思に反して、会社側が後から脚本を改竄し、またラストには、他人の手で撮られた、取ってつけたようなハッピーエンドが付け加えられることになった。

女囚のジェニーは、5年間を刑務所で過ごした後、保護観察付きで仮釈放を許される。彼女の保護官グリフは、ジェニーに仕事を世話する一方、元恋人のけちなチンピラ、ハリーにはもう会わないよう、彼女に言い渡す。グリフとジェニーの間の距離は急速に狭まり、本来、立場上禁じられているにも関わらず、彼らは結婚する。それにつけこんで彼らを脅そうとしたハリーを、思いがけずジェニーが銃で撃ってしまったことから、2人は社会に背を向け、手に手を取って逃避行の旅に出ることを決意するのだが...。


[初出:「フィルム・ノワールの光と影」(1999 エスクァイア マガジン ジャパン)に若干修正を加えた]